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ハウスキーパー澪!(澪視点) 唯視点見てない方に 澪→唯 澪の家! 澪「ママの代わりに私が仕事行くの?」 澪母「そうなのお願い。ママ風邪でダウンだから、澪ちゃんが家事やってくれば良いの?簡単でしょ?ね!」 澪「わかったからママは休んでてよ」 澪母「本当!?澪ちゃんありがとう♪ちょっと依頼者の情報持ってくるね」 簡単に言うとママが風邪で休んでいる。 その割には元気なんだが。それでも仕事は大事。タイムイズマネーってやつだ。 でも、いくらママのお願いでもテスト控えてるし文化祭でロミオ役やらないといけない。 とどめに軽音部の発表。正直勘弁して欲しい。 マチガイジャナイマボロシジャナイボクラハソコニイター♪ 電話だ。律からか? 澪「もしもし」 唯『・・・・もしもし澪ちゃん!』 澪「唯か。どうしたんだ?そんなに慌てて?」 唯『憂が入院しちゃったんだよ!』 澪「憂ちゃんが入院!」 唯『そうなんだよ!それで緊急だから家来てくれない!』 澪「うーん行きたいんだけど、私もこの後用事が入ってるんだ。遅くなって良いなら寄らせてもらうけど・・」 唯『モチのロンだよ!待ってるね!』 澪「ごめんな唯」 唯『気にしないでよ。憂に頼ってた私にも原因があるし』 澪「ははは。唯はそろそろ妹離れしろよ」 唯『憂は優しいんだよ』 と、唯とちょっと話して切った。はぁ、どうせなら唯にジュリエット役をやって欲しかった。律は噛みそうだし。 澪母「ここの家に行って欲しいの」 澪「・・・・・」 澪母「どうかしたの?」 澪「いや、何でもないよ。それじゃ行ってきます」 まさかね。住所は間違いない。でも地図の間違えなんかじゃ・・・ない。 澪「唯の家からが依頼者なんて・・・」 インターホンを押す。 ピンポーン ガチャ 唯「すみましぇん。集金は待ってください」 澪「いきなり何言ってるんだよ」 唯「ひっ!セールスはおことわ・・・」 澪「さっき電話で話した相手の顔も覚えてないのか?」 唯「澪ちゃん!」ダキッ いきなり抱き付いてきた。唯のスキンシップってやつか。梓が羨ましい。 唯「用事終わったの?」 澪「いや、これからだよ」 にしても、こうも抱き付かれるのは悪くはないが恥ずかしい// 唯「どういう事?」 澪「梓みたいにいつまでも抱き付いてないで上がらせてくれないか?」 唯「えっ?でも家の中は悲惨だよ」 澪「わかってるわかってる」 唯「澪ちゃんひどーい!」 居間! 唯「・・・・・大変お恥ずかしい姿を晒してしまって・・・澪ちゃんのパn澪「それは良いから」 うう・・折角思い出の中でもじっとしていたのに・・・ 唯「で、私の家に用事ってどういう事?」 澪「ハウスキーパーで来たんだ」 唯「ハウスキーパー?」 危なかった。メイドと言ってたらムギかさわ子先生が来そうな気がした。 澪「簡単に言うとメイd・・・使用人の事だよ」 唯「使用人って何?」 澪「お手伝いさんの事だよ」 唯「何で家来たの?」 澪「憂ちゃんから依頼されたんだよ」 唯「憂から?」 澪「そうだね。で、本当はお母さんが行く予定だったけど風邪引いちゃってさ。代わりで私が来たわけ」 唯「ほぇ~」 澪「まあ、こんな感じかな?でも代わりで来た家が唯の家で良かったよ」 唯「何で?」 澪「お母さんがよく嘆くんだよ。子供があちこち遊び回って中々出来ないって」 唯相手も大変だろうけど、知ってる人だけありがたい。 唯「使用人さんも大変なんだね」 澪「それじゃ唯は勉強やって良いぞ」 唯「えっ?」 意外な顔するなよ。可愛いじゃないか。 澪「だって、私は仕事で来たんだよ。遊びに来たのと違うんだよ」 唯「そんな~澪ちゃんひどーい!」ダキッ 澪「はいはい。唯には色気がないから抱き付いてもダメだぞ」 唯「そんな~澪ちゃん固いこと言わないでよ~」ギュー 澪「うう・・わかったよ。本当は仕事が終わったら帰る予定だけど今日は泊まってくよ。それで良いだろ?」 唯「本当!?わーい!澪ちゃん大好き!」ギュー 澪「はぁ・・とりあえず離れてくれ」 思わずため息を吐いてしまった。だって唯の言う大好きは友達としてなんだもんな。 澪「じゃあまず、天候の問題がある洗濯からやるか」 唯「じゃあ私はギター弾いてきます」 澪「何言ってるんだよ!唯はテスト勉強やれって憂ちゃんから言われただろ」 唯「じゃあお手伝い!」 澪「それじゃあ仕事にならないよ」 唯「・・・やっぱり私じゃ家事に向いてないんだね」グスン 澪「そういう事じゃないぞ!使用人としてのお仕事にならないって事だよ!」アセアセ いきなり泣くなんて唯!可愛いよ! 唯「どうせいつまで経っても妹離れ出来ませんよ」グス 澪「わかったわかった一緒にやろう。よく出来たら一緒にお風呂入ろう。な!」アセアセ 唯「・・・・・うん」メソメソ 勢いで唯ととんでもない約束をしてしまった/// レベル1洗濯 憂ちゃんいないとこうなるのか。全自動だから唯もスイッチ押すだけで良いはずなんだけど・・・ 澪「二層式だと!」 唯「二層式?」 澪「濯ぎと脱水が別々なんだよ」 唯「へー」 澪「じゃあまず、左側は洗濯槽だからお風呂の水入れるんだけど・・・」 唯「だけど・・・」 澪「ポンプない?」 唯「ポンプ?」 澪「お風呂の水を汲み上げるために使うんだけど・・・・」 唯「憂は洗面器でやってたよ」 澪「・・・・・」 憂ちゃんにムギと腕相撲やらせたい。 澪「・・・・・と言うわけで濯ぎの所にお風呂の水を入れました」 唯「おー」パチパチ 澪「洗剤入れてください」 唯「よっしゃー」ドボドボ 澪「待て待て!入れすぎだ!」 唯「え?」 澪「まあいいや。洗濯物どんどん入れて。まずはシャツとかがいいかな」 唯「ほいよ~」ポイポイ 澪「その間にお風呂でも掃除するぞー」 唯「イエッサー!」 澪「スポンジで洗ってシャワーで流すくらいで良いよ」 唯「了解!」ゴシゴシ 澪「お!濯ぎ終わったな」バシャバシャ 唯「ごしごしーごしごしー」 唯「澪ちゃん終わったよー」 澪「よしじゃあ今洗濯槽に入ってる衣類を脱水槽に入れて。私は食器洗ってくるから」 唯「ほいよ~」バシャバシャ 唯「これでスイッチ回すんだね」グイッ ドゴドゴドゴドゴ 唯「澪ちゃーん!」 澪「どうした?ああ。やっぱりなると思ったよ」カチリ 唯「どういう事?」 澪「衣類が偏るとドゴドゴ鳴るんだよ。こうやって出来るだけ均等に敷いて・・・」グショグショ 澪「よし!後、脱水してるときに衣類が飛ばないように防止する蓋みたいなのをする。これでスイッチ回すと・・」グイッ グウーン 唯「おお!」 澪「こんな感じで残りもやって」 唯「了解!」 15分後 唯「澪ちゃん全部終わったよ」 澪「じゃあ洗濯槽の水は排水して普通の水を入れてもう一回洗って」 唯「もう一回洗うの?」 澪「さっきのは汚れ落としで今度は洗剤落としって感じかな」 唯「了解」 澪「洗剤は入れるなよ」 唯「そこまでヘマしません」 しそうだから言ったんだが・・・ 20分後 唯「澪ちゃん終わったよ」 澪「じゃあ干すか」 唯「ハンガーとか必要だね」 澪「てことで、干しましょう」 唯「わー」パチパチ 澪「たくさん干せるのは基本的バランス取れれば良いよ。でも外側に大きいのとか干すなよ。 内側が乾かないから。シャツとかはハンガーで必ず洗濯ばさみ付けて干すんだぞ」 唯「そのままじゃダメなの?」 澪「風で飛んでっちゃうかも知れないだろ」 唯「へー」 澪「・・・・・///」 唯「澪ちゃんどうかしたの?」 澪「へ?いっいや何でもないぞ///」パチパチ 唯のパンツが可愛いのと大胆のがあって見とれてたなんて言えない/// 澪「これで、洗濯物が乾くまで待つ。次に食器洗いと言いたいが、私がやったから家の掃除でもやるか」 唯「おー」 レベル3家の掃除 澪「まずはこれを撒きましょう」 唯「何これ?」 澪「お茶っ葉」 唯「でも出涸らしのやつだよね?」 澪「そうだよ。それにこれで充分だよ。 これを撒いて箒で掃けば誇りも余り飛ばなくて咳き込まなくて良いんだぞ。 玄関掃除の時水撒くのと同じようなものだな」 唯「おー」 澪「ただし、搾ってな。水含んだままだと意味ないから」 唯のおっぱいも搾りたい//なんちゃって/// 唯「へ・・へぇー」 5分後 澪「それじゃあ箒で外に掃きましょう」 唯「澪ちゃーん。ベランダとかにくっついちゃうよ」 澪「ちり取りで取る。ないなら広告をちり取り代わりにする」 唯「なるほど」 10分後 澪「窓拭きやるか」 唯「クレンザーとかあるかな?」 澪「新聞紙で充分だよ」 唯「ほぇ~」 澪「新聞紙を湿らせて窓を拭く」キュッキュッ 唯「おー・・・・oh year///」カァ 澪「どうしたんだ?顔真っ赤だぞ?」 唯「いや///何でもないです//」 澪(変な唯だな?) 10分後 澪「こんなもんかな。お昼にしよう」 唯「わーい」 澪「あっ唯」 唯「何?」 澪「テスト勉強しとけよ。夜テストするからな」 テスト勉強しないと唯はまた赤点取りそうだしな。ただでさえ文化祭近いのに・・・ レベル4食事の準備 澪「お昼何食べたい?」 唯「澪ちゃん!」 澪「へ?//」 唯「ハンバーグとかでも良いの?」 澪「あっ//ハンバーグかハンバーグは夕飯の方が良いだろ」シュン 唯「じゃあ澪ちゃんに任せるよ」 なんだ。私を食べたいんじゃないのか。 澪「うーん。材料見てからだな」 唯「焼きそばあるよ!」 澪「他はないな。じゃあ焼きそばにするか。じゃあ野菜切ってくれ」 唯「・・・・・」 澪「どうした?」 唯「切り方知らない」 澪「どれだけ憂ちゃんに任せてるんだよ?」 唯「・・・・」ジワ 澪「まっまあ一緒に覚えよう。な!」 唯「・・・・・」ポロポロ 澪「そうだ!よく出来たら今日は一緒に寝よう!唯と寝たくて堪らなかったんだよ!」 唯「・・・・・」コクコク また、勢いでとんでもない約束を・・・/// 澪「まずは、人参の皮向きだ」 唯「どうやるの?」 澪「皮剥き専用の器具を使うんだよ。これこれ」 唯「これでどうやるの?」 澪「上から下に下ろす感じで」 唯「よっしゃ!」ガッ シュッ 唯「出来たよ澪ちゃん!」 初めてには上出来じゃないか。ただじゃがいもとかはまだまだな気がする。 澪「それで周りの皮を剥いてくれ。ただし、やり過ぎて人参を悲惨な風にさせるなよ」 唯「わかった」シュッシュシュッ 澪「・・・・」トントン 唯「出来たよ!」 澪「じゃあ切るんだけど」 唯「・・・」キラキラ 澪「・・・一緒に切るか」 澪「左手は出来るだけ丸めて右手は包丁持ってるから振り回すなよ」ムニュムニュ 唯「う・・うん//」 なんか急に唯の奴元気なくなったな。どうしたんだろ? 澪「ああ!左手それだと危ない!」ムニュー 澪「唯大丈夫か?顔真っ赤だぞ?」 唯「理性は危ないかも///」 澪「律みたいな事言ってないで・・・よしじゃあ炒めるか」パッ 唯「あっ//・・・あぅ」 焼きそばは青のりも良いけどやっぱりベニーちゃんは必要だよな。 澪「唯、ベニーちゃんあるか?」 唯「ベニーちゃん?」 澪「あ///やっ違うぞ紅しょうがだ!紅しょうが///」 唯にベニーちゃんバレた///恥ずかしい// 唯「多分冷蔵庫の中に」 澪「じゃあまずは麺を電子レンジで温めてくれ」 唯「何で?」 澪「その方がほぐれ易いんだ」 唯「へー」ピッピッ ウィーン 澪「じゃあ炒めるか」 唯「油入れるんだね」 澪「そこは解るんだな」 唯「・・・・・」ジワ 澪「そうだ!調理実習あったもんな」アハハ 唯「・・・・」ジワワ 澪「そうだ!寝る前にキスしてくれ!いつもはママにやって貰ってるからさ・・・」 唯「・・・・」コクコク 澪「///野菜入れて」カァ どうしよ!?お母さんじゃなくてママって言っちゃった// 唯「らじゃー」ゴロゴロ 澪「まあ、炒めるんだよ」ジャージャー 唯「おー!」 澪「よし唯、麺入れて」ジュージュー 唯「了解であります!」ドパドパ 澪「そろそろ粉末かやくいれる用意して」ジャージュー 唯「何個入れる?」 澪「2個で良いよ。3個は濃いから」 唯「ほい」パッパッ 澪「よし出来た!仕上げにベニー・・紅しょうがを」 唯「ベニーちゃん乗せまーす」 澪「もうベニーちゃんでいいよ//」 唯「お皿はこんなもんかな?」 澪「いいよ。焼きそばを盛って」 唯「完成!」パチパチ 澪「フライパンは水で冷やかしておく」 唯「麦茶でいーい?」 澪「良いよ」 唯「ほいじゃいただきます!」 澪「いただきます」 唯「モグモグ」 澪「パクパク」 唯「うまい!」 澪「そりゃ唯が自分で作ったからな」 唯「おいひーよー」モグモグ 澪「味わって食べろよ」パクパク 唯「ごちそうさま!」 澪「早いな」モグモグ 唯「食べたら眠くなってきちゃったよ」 澪「寝てて良いよ。後やっとくから」 唯「それじゃあお言葉に甘えて寝てきます」スタスタ 澪「・・・・・」モグモグ 澪「ごちそうさま」 レベル2-β食器洗い 澪「・・・」カチャカチャ 澪「・・・」ジャージャー 澪「終了」カチャ レベル1+α洗濯物の回収、畳む 澪「・・・・」パチパチ 澪「・・・・!」タタミタタミ 澪「・・・唯のパンツ//」 澪「・・・・・」ジー 澪「・・・」クンカクンカ 澪「♪」パァ 澪「ハッ!いけないいけない。唯に欲情してどうするんだ!」 澪「これは!?」 澪「唯の・・・いや、大きさ的に憂ちゃんだよな?」 澪「・・・・」ジー 澪「・・・」グッ 澪「良かった。私の方が大きい」 澪「・・・・・何してんだろ?」 澪「・・・・」タタミタタミ 澪「完了」 とりあえず、今日の私の仕事は終わった。ちょっと怪しい行動したのは唯には内緒だ。 澪「さて、唯に終わったって言って帰るかな。はぁ、結局唯ったら寝てるもんなぁ」 唯の部屋! 澪「唯、終わったぞ~」ガチャ 唯「ZZZ」 やっぱり唯は寝ていた。可愛い。近くに寄って唯の髪を触る。擽ったそうに顔を動かす。 澪「それじゃあ私は帰るからな。明日また来るから」 そう言って私は帰ろうとした。 グイッ 唯「・・・・んっ・・・行かないで」 澪「唯?」 どうも寝顔がおかしい。さっきまで気持ち良さそうに寝ていたのに急に顔が苦しさを表してる。 唯「やめて・・・虐めないで・・・・み・・・お・・ちゃん」 澪「唯!大丈夫か?」 落ち着かせようと唯の手を握った。明らかに魘されている。 それなのに私には傍にいて手を繋ぐ事しか出来ないなんて・・・。 唯「・・や・めて・・わた・・しの・・ならな・・いで・」 澪「唯!私が居るよ!大丈夫だから!」 唯「ああああああああああ!!!!!」ガバッ 澪「!」ビクッ 唯「あああ・・・あれ?」キョロキョロ 澪「おい唯大丈夫か!?」 唯「・・・・澪・・・ちゃん」 澪「随分魘されてたぞ」 唯「う・・うう・・・澪ちゃーん!怖かったよーー!!!」ダキッ 澪「うわっ!」 唯「怖かったよ~」ビエーン いきなり唯が抱き付いて来た。梓に抱きつく雰囲気ではないし、午前中に抱きついてきた雰囲気ではない。 今の唯は何かから逃れる。そして唯の安心な場所を求めて・・・ 澪「全く、一体どんな夢を見てたんだよ?」ナデナデ 唯は泣き止んでも私から離れたくないと言い、私は唯の隣に座り頭をナデナデしている。 当の唯は私が逃げないようにべったり抱きついている。 唯「・・・・みんなが居なくなる夢。 最初に憂が・・・次にあずにゃん、りっちゃん、ムギちゃん。最後に澪ちゃん」 唯が体験した怖い夢。私でも怖い。とにかくまだ唯は落ち着いてない。落ち着かせる必要がある。 澪「でも夢だろ。気にしするなって」ナデナデ 唯「でも夢にしては凄いリアルだったんだよ」 澪「それだけよく眠ってたって事じゃないか」ナデナデ 唯「みんな、私を要らないとか言って・・うう」グス 唯ってたまにバカだよね。誰も唯が要らないなんて言うはず無いのに・・・ちゃんと言ってやる必要があるな。 澪「・・・・」ナデナデ 澪「私は唯を必要だと思ってるよ」ナデナデ 唯「・・・・・」メソメソ 澪「ボーカルやってくれるし、私の詩を誉めてくれる。だから私は唯が大好きだよ」ナデナデ 唯「・・・本当に?」 澪「もちろん。私だけじゃなくて律やムギ、梓に憂ちゃんだって唯を必要としてるよ」ナデナデ 唯「でもみんな要らないって・・・」 夢の話を引きずる唯。私が必要としてる時点で矛盾してるんだけどな。 澪「だったら電話してみたら良いじゃないか?」ナデナデ 唯「・・うん」カチカチ 唯「・・・・もしもしりっちゃん?」 律『その声は唯かぁ~どしたー?』 唯「私って必要?」 律『はぁ?』 唯「私って必要?」 律『唯が居ないと練習ばっかで軽音部つまんねーよ』 唯「そっかありがと♪」 律『おおう』 唯「それじゃあね」カチ 唯「・・・・」 澪「言っただろ。唯を必要としてる人はたくさん要るんだよ」ナデナデ 唯「・・・私って必要とされてるんだ・・・・うう良がっだよ~」ポロポロ 澪「ったくこんな事で泣くようじゃまだまだだなあ」ナデナデ 唯「私にとっては大事なの!」メソメソ ともかく唯が立ち直って良かった。このままだと文化祭まで響く気がした。 澪「そうか。お夕飯どうする?」 唯「今何時?」 澪「6時頃かな。唯は中々起きないから寝かしといたよ」 唯「うわ~よる眠れないよ!」 澪「自業自得だ」 唯「あう~」 澪「で・・・・そろそろ離れてくれないか?」 唯「ダメ!」 澪「・・・唯」 唯「今離れたら澪ちゃんがこのまま消えちゃうようにどこかに行っちゃう気がして・・・・」ギュー 私は別に唯の前から消えるつもりはない。ただ少しの用だけあるのだが、それだけでも唯は私が消えると思っている。 つかの間の安心。すぐに訪れる絶望。唯の頭は不安でいっぱいなのだろう。なら私はどうすればいいのだろう? 澪「・・・・・」 澪「全く。唯は我が儘だなあ」ナデナデ 私の答えは決まっている。 唯「だって怖いんだもん」ギュー 澪「このままだと妹離れは出来ても、私から離れられないよ」ナデナデ 唯「澪ちゃんなら良いよ」ギュー 唯から意外な答え。憂ちゃんより私が良いってことなのか? 澪「何で?」 唯「だって、私の我が儘聞いてくれるんだもん」ギュー 我が儘。そう、確かに今日は唯の我が儘を聞いてきた。それは半分本心で・・・半分は仕事として・・ でも、決まっているだろ。私。 澪「もし、これが使用人の仕事だったらどう思う?」ナデナデ 唯「え?」 唯の顔が泣きそうになる。煽ったのがまずかった気がした。 澪「嘘だよ。本当は夕飯だけ作って帰る予定だったんだ。でも、ここからは完全に私の意志だよ」ナデナデ 唯「・・・・どういう事?」 澪「唯が離れたくないんだったら私は唯を離さないよ」ギュー 私から唯を抱きしめる。唯は驚いて声を漏らした。 唯「わわ///」 澪「唯が憂ちゃん離れして私に依存してくれるなら私は嬉しい。だって私は唯が好きだから//」ギュー 雰囲気に任せて私は唯に好きと伝えた。多分唯はLIKEと受け取るだろう。 唯「私で良いの?」 澪「また、私に恥ずかしい事言わせるのか///唯は我が儘だな」 澪「何度も言わせるなよ。私は唯の事が大好きなんだよ。LOVEなんだよ///」カァ 唯「でも私、家事は出来ないし頭悪いし、とても澪ちゃんと釣り合う気がしないよ!」 澪「だからと言って唯は目の前の女の子を振るのか?」グス 正直、唯を狙ってる子は多い。特に梓と憂ちゃんには負けてもおかしくない。出したくもない涙が頬を駆けた。 唯「・・・澪ちゃん、目・・閉じてくれないかな?」 澪「わかった」ギュッ 唯「私も澪ちゃんの事が・・」 澪「・・・」ドキドキ 唯「嫌い」 澪「えっ?」 私の暗い視界に更に追い討ちを掛けるような言葉。『きらい』というたった2文字が私の心を壊し始めたかと思った。 チュッ 私の唇に一瞬、柔らかい何かが触れた。 唯「・・・・・なわけないじゃん。私も澪ちゃんの事大好きだよ///」 澪「唯・・」 澪「ありがとう//」 視界が明るくなる。目の前には私の大切な人が涙を流しながら笑っていた。 思いが叶った興奮が治まるまで私もつられて笑った。 唯「澪ちゃんってさ。いつから私の事好きだったの?」 澪「1年の時行った合宿かな。1年生の時は唯と色んな思い出作れて嬉しかったんだ」 唯「ほれほれ。もっと話せ話せ」モミモミモミ 唯が私を求めてくる。それは嬉しい、ただしえろい。 澪「あっ//もう唯のえっち///・・・梓が入ってから唯は梓に首ったけになってて悲しくなったよ。 私にも抱き付いて欲しいと思ったよ」 唯「りっちゃんがいたじゃん」 澪「律だって唯と騒いでた印象しかないんだ。登下校だって他愛ない話しかしないし」モミモミモミ 私も唯を求める。食べても太らない体質はお尻に回ってるんじゃないかと思ってもみもみしてみる。 唯「澪ちゃんのえっち///」 澪「唯が先にやってきたんだろ!」 唯「反撃だー」モミモミモミ 澪「やっ//唯なんかに負けてられない!」モミモミモミ ハッキリ言えないが//朝まで唯とプロレスごっこしてた// まさか唯に倒されると思わなかった// 次の日の朝! 唯「・・・・・いつの間にか朝日が昇ってる」ツヤツヤ 澪「唯がいつの間にか積極的になってたからな」ツヤツヤ 唯「でも、澪ちゃん食べれたからいいや///」ダキッ 澪「私も唯食べれたからいい//」ギュ 唯「澪ちゃん朝ご飯食べたい」 澪「じゃあ一緒に作ろう」 唯「うん!」 レベル4朝御飯 朝御飯は本来ハウスキーパーの私の仕事。でも昨日の約束で唯と共同作業だ。 ただ・・・さてどうしたことだろう? 澪「なあ唯、私の服無いんだが・・」 唯「澪ちゃんはこれ」 澪「なっ///いくら唯しか居ないとはいえ恥ずかしいよ///」 唯「ほれほれ♪」 澪「いやあああああああ!!」 5分後 澪「ううう・・・本当に誰にも見せないでよ//」 唯「もちろんだよ!澪ちゃんの裸エプロンは私だけの特権だよ!」 澪「じゃっじゃあ///トーストと目玉焼きで良いよね?」 唯「了解!」 澪「・・・・サラダ作るから」ジャー 唯「・・・」ジー 澪「唯//」 唯「気にしないで」 澪「集中出来ない///」 唯に食べられた。 15分後 唯「いただきまーす!」ツヤツヤ 澪「イタダキマス」 唯「おいひーよ!澪ちゃん!」 澪「タベタラカタヅケナ」モグモグ 唯「うまうまー」パクパク レベル2食器洗い 澪「スポンジに洗剤付けて泡が出たらお皿にササッと♪」 唯「ササッと♪」 澪「水洗いで良いよ」ジャー 唯「完了!」 澪「よし!テスト勉強やるか!」 さっきの仕返しは唯には大ダメージだ! デンワデンワデンワ♪ 唯「もしもし」 憂『あっお姉ちゃん!私だけど・・・』 唯「憂ーどうしたの?」 憂『DG細胞の力で今日退院出来ると思うんだよ』 DG細胞?憂ちゃんはキング・オブ・ハートに挑むのだろうか? 唯「そうなの?」 憂『だから、使用人さんにお金払っといてね。お昼までに帰るからツーツー』 唯「だって」 澪「1日分だから唯を1日好きにしていい分と同じかな///」 唯「随分高いね///」 澪「そうだぞ」 唯「まずは何の命令かな?」ワクワク 澪「勉強だろ」 何を期待してるかわからないけど勉強を期待してたんだな♪ お昼 ガチャ 憂「ただいまー」 憂(・・・家の中が甘ったるい) 唯「憂ーおかえりー」 澪「憂ちゃんおかえりー」 憂「澪さんいらっしゃい」 唯「憂ー私と澪ちゃんと付き合う事にしたよ」 憂「えっ?」 澪「こらこら。この事は秘密だって言っただろ」 憂「は?」 あー。やっぱり理解できないよな憂ちゃんでも・・・・ 憂「えっと全然わかんないんだけど・・」 唯「お子様はわからないんだよ」 澪「頭は憂ちゃんの方がいいぞ」 唯「つまり、憂は澪ちゃんの事をお義姉ちゃんと呼んで良いんだよ」 憂「え?お姉ちゃんはお姉ちゃんで澪さんはお義姉ちゃん?」 澪「憂ちゃんからお義姉ちゃんだなんて//」テレ 憂「・・・」 憂「」フラッ 唯「憂!また倒れちゃったよ!」 澪「寝かしとけば大丈夫じゃないか?」 唯「じゃあ私も・・・」 澪「唯は勉強だ!」ゴン 唯「いたーい!」 しまった!可愛い唯に律と同じクラスの鉄拳をお見舞いしてしまった! でも、これも記念。私と唯の記念をどんどん増やしてく。 いつか2人で振り返れるために・・・ おわり 規制喰らってなかったらまた投下させてもらうよ。 お付き合いありがと どうでもいいけどクリアファイル目当てでDIME買った人は自分以外にもいるよね? 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※ 本当の事なんて、一生言うつもりはないんだ。 望んでも手に入らないのは分かってる。 望むこと自体、間違ってるのも分かってる。 おかしいのは私なんだ。 だから、あの子を巻き込みたくない。 とても優しい子だから。 あの子はきっと、普通に恋をして、結婚して、普通の幸せを手に入れる。そういう子だ。 それが一番だと思う。 だからこれは、一生言わなくていい事だ。 …――――だけど。 ※※ 「―――しまった。学校に辞書忘れたぁ…」 珍しく問題集を机に広げていた律は、思わず溜め息をついた。 握っていたシャーペンを放り出して、椅子の背にもたれかかる。 椅子がギシッと悲鳴をあげた。 窓の外はもうほとんど日が落ちている。 見れば夕方と夜の色が空にグラデーションを描いていてとても綺麗だ。 反対に、律の気分は落ち込んでいた。 長い溜め息をついて、背中を曲げると机に額をくっつけた。 そのまま、ずずずと体重をかける。 「…………あ、聡に借りればいいのか……」 ぼそりと呟いて、律は椅子から立ち上がった。 コン、コン。 聡の部屋を軽くノックする。 暫く待ったが、中からの反応はない。 確かもう帰って来ていたはずだが。 律は首を傾げると、ドアノブを握った。 少し開いたところで、電気が付いていない事に気が付いた。 律「聡…?」 律は中を覗きこむと、小さく名前を呼んだ。 部屋の中は薄暗い。 窓は開きっぱなしで、そこから流れ込む風が、カーテンを通して律の頬を掠めていく。 聡はベッドの上に居た。仰向けになって寝転んでいる。 制服は着たままで、鞄は無造作に横に放ってあった。 律「聡、寝てるのか…?」 律はその枕元まで歩いて行くと、静かに腰を下ろした。 そっと聡の顔を覗き込むと、薄く開いた唇からすーすーと寝息が漏れていた。 律「聡」 呼んでみるが、全く起きる気配はない。 律は、まじまじとその寝顔を観察した。 意外に睫毛が長い。 ニキビひとつないその肌は、律よりもずっと日に焼けて黒かった。 まあ、普段からあれだけ外を走り回っているのだから、当然といえば当然だろう。 視線を移すと、頬の辺りに何かで引っ掻いたような傷があった。 近所の猫に引っ掻かれたのだとすぐに推測できた。 まめにちょっかいをかけては、傷をつくって帰ってくるのだ。 猫に威嚇される弟を想像して、口元を緩ませる。 律「………」 ふと、夕方の事を思い出した。 ずんと胸が重くなる。 …――――今日、クラスメイトらしき女の子と2人で歩く聡を見掛けた。 学校帰り、ショッピングモールに立ち寄る途中の事だった。 背が低めの聡よりも更に低い。 並んで歩くその姿は、どこからどう見てもかわいらしい中学生カップルだった。 楽しそうに話をする聡は、道路を挟んだ向こう側の律に気付いた様子はなかった。 ――ああ、その時が来てしまったのか。 律はそう思った。 覚悟はしていても、酷く胸は痛んだ。 こちらの胸中を知ることなく、目の前の聡は穏やかな寝息を立てている。 そっと手を伸ばす。 その少し癖のある柔らかい髪を、指に絡めた。 聡からは外の匂いがする。 土と、草と、―――太陽の匂い。 聡が太陽なら、私は月だ。 律は身を乗り出すと、その寝顔にそっと自分の顔を近付けた。 肘のところのスプリングが、小さく軋む。 聡「――――うーん…」 律「!」 聡が身じろく。 心臓が跳ね上がった。 律は慌てて聡から体を離すと、本棚のほうへ駆け寄った。 とっさに蹴飛ばしてしまった時計が、カタンと音を立てた。 心臓が激しく脈打っている。 ―――今、何を? 私は今、何をしようとした? とうの昔に決めたはずだ。 決めたはずなのに、なんで――― 「…ええーと、辞書辞書…」自分を誤魔化そうと小さく呟いた。 目が、並んだ本の上をただ意味もなく滑っていく。 棚に添えた指が、小さく震えてしまっている。 ほんと、何やってんだ。 泣きたい。 「…―――姉ちゃん?」 背後でごそりと動く気配がした。 律の心臓が跳ね上がる。 できるだけ、平静を装って振り返ると、横になったままこちらを見る聡と目が合った。 律「―――あっ、悪い、起こしちゃったか」 無理やり笑顔を作ったが、多分引きつっているはずだ。 まだ震える指を、無理やり両の手を握り合わせて、ぎゅっと抑え込んだ。 背中を、嫌な汗が伝っていく。 聡は目元をこすりながら、ゆっくり身体を起こした。 聡「どうしたの?電気も付けないで」 眠たそうに目を瞬かせている。 いつもの聡だった。 途端、律の全身からどっと力が抜けた。 良かった、気付かれてない。 良かった。 律「……あー、いや。ちょっと辞書借りてこうと思って。聡寝てたし」 ははっと渇いた笑いを漏らす。 聡「何の辞書?」 聡はベッドから降りると、眠そうに頭を掻きながら歩いてくる。 律が英和だと答えると、「ちょっとどいて」と日に焼けた細い腕が、律のすぐ目の前をかすめて本棚へと伸びた。 律はどきりとして、慌てて一歩後退する。 初めは本棚を探す聡を見ていた律だが、後ろめたさから、すぐに視線は落ちた。 聡が電気をつけなくて助かった。 今、明るい場所で聡の目を見る自信がない。 聡「あっ、あった。はい」 聡は本棚から辞書を抜き取ると律に差し出した。 それを受け取る。 律「お、サンキュー。借りてくな」 聡「ちゃんと戻してよ」 律「ほーい」 律は聡に背を向けると、逃げるようにドアへと歩き出した。 だがすぐに、歩みを止める。 そんな余裕なんてないはずなのに、どうしても気になって、律は振り返った。 律「そいや聡、今日可愛ーい女の子と二人で歩いてるの見ちゃったんだけど。あれってカノジョ?」 からかうような表情を作る。 聡は、きょとんとしている。 聡「え?は…?」 記憶を探るように視線をさまよわせて、すぐに思い当たったらしく、慌てて口を開いた。 聡「ち、違う違うッ!……あれはただのクラスメイトだし!つーかアイツは新庄狙い…とと」 顔を赤くしながら慌てて口をつぐむ。 律「…なんだぁ、違うのか」 「違います」と聡は何度も頷いて同意する。 思わずほっとしたが、すぐに自己嫌悪にかられた。 そんな自分を取り繕って、律は続けた。 律「聡に彼女が出来た時は、女心というものをしかとレクチャーしてやろうと思ってたのに」 聡「いらないし!…ていうか姉ちゃん絶対からかうから出来ても言わない」 聡は顔を真っ赤にして言う。 少し、傷ついた。 そりゃそうか。 聡だってもうお年頃だもんな。 彼女とかそのうち作るつもりだよな。 …そりゃそうだ。 「なにさー、けち。」つまらなそうに唇を尖らせたが、ふいにその視界が歪んだ。 律(やば…っ) 慌てて顔を背けた。 惨めさで自分が歪んでいくようだ。 何か、やだなぁ。こんな自分。 必死に込み上げる涙をこらえながら「でも、」と続ける。 律「―――そしたらもう、一緒に映画行けないなぁ」 誰にも分からないように吐いた、弱音だった。 律は部屋を出て行こうとする。 本当に今日の自分は最低だった。 1度頭を冷やした方がいい。 「―――俺、ずっと姉ちゃんと映画行くよ」 背後からの予想外の返事に、ドアノブへと伸ばした律の手がぴたりと止まった。 聡「…姉ちゃんが呼んだらどこでも行くし、姉ちゃんが悲しい時は一緒に居るし、困った時は助けるし、…えーと…………………………と、とにかく、俺は変わらないから。ずっと!」 律は何も言えず、ただ聡の顔を見つめていた。 聡は手を握ったり開いたりと落ち着きなく動かしていたが、それでも慎重に言葉を選んでいるようだった。 その必死さが、向けられた眼差しから伝わってくる。 「…」 互いに視線を合わせたまま、長い沈黙が落ちた。 カチ、カチ、カチ、と目覚まし時計の針の音が聞こえる。 部屋は真っ暗に落ちている。 いつの間にか、すっかり夜になっている事に、律は今頃気が付いた。 聡の向こう、月明かりに照らし出された白いカーテンが、音もなく揺れている。 綺麗だな。 律はまるで場違いな感想を抱いた。 …まるで夢の中にいるみたいだ。 律は視線を手元へとうつした。 親指と人差し指の爪を、意味もなくこすり合わせる。 ほんの一瞬。 ずっとこのままいられるんじゃないかと。 希望を抱きそうになってしまった。 そんな事あるわけないのに。 律「――――いいな、それ」自嘲気味に、諦めを吐く。 律「……このままずっと居られたら幸せなんだけどな」 だけどそれは、すぐに聡によってすくい取られた。 聡「ずっと幸せだよ、姉ちゃんは」 はっきりとした声だった。 律は今度こそ驚いて聡を見つめた。 何も言葉が出てこない。 律は先程から、核心から遠くないとはいえ、あやふやな事しか話していない。 なのに、どうして聡からこんなにもしっかりとした反応が返ってくるのかが、不思議だった。 2人の会話は少し妙だ。 聡は気付いているのだろうか。 律は、目の前の弟を観察した。 くもりのない透き通った瞳を真っ直ぐ向けている聡。 ―――ちがう。 多分、聡は何も分かってはいないのだろう。 ただ本能で、必死に律の気持ちをすくい取ろうとしている。 必死に歩み寄ろうとしている。 自分を頼って欲しいと言っているのだ。 少し泣きそうになった。 聡の真っ直ぐさが、律は好きだと思う。 ついその優しさに、甘えたくなってしまう。全部吐きだしてしまいたくなる。 だけど。 律「…―――なーんか太陽みたいだな、聡は。」 聡「え?」 律「あーあ、聡が何かすごく眩しいよー。くやしいのぅくやしいのぅ」 律は聡に歩み寄ると、その頭をぽかぽかと軽く叩いた。 聡「は?何言ってんのさ、姉ちゃんだって――」 律「聡のバカバカ馬鹿やろうー」 聡「ちょっ…、姉ちゃん??」 聡は律の行動が理解できずに、動揺している。 ごめん、聡。 やっぱ言えないわ。言えるわけない。 自分の勝手に聡を巻き込めない。 なあ、聡。 「―――変わらないものなんてきっとないよ」 律は静かに告げた。 「変わらないものなんて、ないと思う」 もう一度繰り返す。 それは一体誰に向けての言葉なのか。 聡が驚いたようにこちらを見ている。 今、自分はどんな顔をしているのだろう。 …―――分からない。 「でも変わらない事もあるな」 癖のあるその髪を優しく撫でた。 聡はただ、無言で律の顔を見つめている。 (そんな顔しなくていいのに…) 律は聡の髪に絡めていた指を離すと、視線を外した。 …―――忘れるな。 この子はあんたのなんだ? あんたはこの子のなんだ? …そうだよ。 「…―――――私はずっと、聡の姉ちゃんだ。」 それは他の誰でもなく、自分自身への警告だった。 終わり。
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澪「聡くん、今度はしまむらいかない?」 聡「(澪さんってしまらーなんだ…)い、いいですよ」 澪「よかった、あそこあたしの行きつけなんだ~」 聡「し、しまむらにはよく行くんですか?」 澪「うん!毎日いってる!あそこにはあたしが欲しいものなんでもそろってるし!」 聡「は、はぁ…」 澪「聡くんも興味あるでしょ?選んであげるよ!」 聡「いや俺は…そういうのは卒業したんで…」 澪「卒業?どういうこと?とにかく行こうね!」 デート当日 澪「ついたついた、ここここ!」 聡「なんだ澪さんのいうしまむらって島村楽器のことだったのか…」
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タッタッタッタッタッタッタ トントン 澪ママ「澪ー 夕飯できたわよ」 澪「むにゃ… 今行く…」 タッタッタッタッタッタッタ 澪(また寝ちゃってたのか 食欲無いな… でも2日連続はママに心配かけちゃう)ムクッ カッチャン タッタッタッタッタッタッタ 澪「いただきます」 タッタッタッタッタッタッタ カッチャン 澪「ふう…」 澪(やっぱり食事がのどを通らない) 澪(勉強でもするか)キイ 澪「…」カリカリ 澪「…」カリ 澪「あー!集中できない!やめやめ!」バタッ 澪(勉強しないとなると暇だなー)ゴロゴロ 澪(そうだ、律にメールでm…)パカッ 澪「… やっぱりシャワー浴びてさっさと寝るか」パタン テッテッテッテッテッテッテ ガッチャン! 律「ふー 説教長いんだよ…」 律「でも澪には悪い事したなー」 律「あとでメールで謝っとくか」 律ママ「りーつー 晩御飯よー!聡呼んでさっさと降りてきなさい!」 律「あいよ!」 カッチャン テクテク 律「おい、聡!飯だ飯!」ドンドン 聡「わかってるよ!ちょっとうるせー」ガチャ 律「いいから早くしろい!私は呼んだからな!」 テッテッテッテッテッテッテ 律ママ「あれ?聡は?」 律「呼んだよ 後から来るんじゃね」 律「んじゃお先に…」ヒョイッ 律ママ「少しぐらい待ってなさい!」ガスッ 律「いでっ!」 テッテッテッテッテッテッテ ガッチャン! 律「ったく、どいつもこいつも私を叩きすぎだ!」プンプン 律「この絶世の美少女りっちゃんに何かあったらどうするつもりだ!」 律「っ!そういえば…」 律「何故か澪、殴ってくれなかったなー」 律「いや、別に殴って欲しいわけじゃねーけどさ」アハアハ 律「私は1人で何言ってるんだ…」ズーン ヴーン ヴーン ヴーン 律「ん?澪からかな?」パカッ 律「お、男からか!なになに?」 男『今週の土曜日、律さんは暇ですか?よかったら映画を見に行きましょう』 律「いいねえ!よし!『予定空いてるよ、行くぜー』と」ポチポチポチ 律「送信っと」ポチッ 律「ふー」 ドンドン 聡「風呂あいたぞー」 律「りょーかい」 律(澪には風呂あがってからメールすっか) カッチャン テッテッテッテッテッテッテ 紬「はあ~ 澪ちゃんたちどうなったのかしら」ゴロゴロ 紬(昨日の私の行動、蛇足だったわ) 紬(私が余計な事しちゃったから澪ちゃんは元気なかったし私も演奏に集中できなかったし) 紬(お節介な気もするけど… ええーい!) ピッピッピッピッピ プルルルルル プルルルルル タッタッタッタッタッタッタ カッチャン 澪「ふー、スッキリした」 澪(シャワー浴びたし今日はもう寝ちゃおう)ボフッ ヴーン ヴーン ヴーン ヴーン ヴーン 澪「ん、電話か 誰からだ」ギシッ ヴーン ヴーン ヴーン 澪「ムギか」パカッ ヴーン ピッ 澪「もしもし」 プルルルルル ガチャッ 澪「もしもし」 紬「あ、澪ちゃん?私だけど~」 澪「一体どうしたんだ?」 紬「いやね、昨日の事謝っておこうと思って」 澪「ああ、その事ならもう解決したぞ 律から聞いた」 紬「ホントごめんね、澪ちゃん… 私が余計な事言ったばっかりに」ショボン 澪「いいや、気にしなくていいさ ムギはいつもみんなの事考えてくれるからな」 澪「逆にこっちこそごめん 私たちの事で悩ませちゃったみたいで」 紬「そんな!私、みんなの為になりたいの!」 澪「ムギ… ありがとう」 紬「えへへ~」パアッ 澪「ところでムギ」 紬「なあに、澪ちゃん」 澪「その…さ、ムギは律の彼氏を見かけたんだよな」 紬「ええ、街中で一緒にいる所を」 澪「どっ、どんな感じの人だった!?」 紬「えーっと、優しそうな感じの人だったわ」 澪「そ、そうなのか」ホッ 紬「どうしたの?」 澪「いや、ちょっと心配になってさ」 紬「あらあらあら」ポワワッ 澪「んなっ!」カアッ 澪「律はさ、大事な大事な親友だと思ってる」 紬「うんうん」 澪「あっ、勿論ムギも唯も梓も大事な友達だし後輩だぞ?」 澪「でもさ、律はやっぱり違うんだよ」 澪「小学校の時に出会ってさ、私を変えてくれた恩人なんだ」 澪「もしも律と出会ってなかったら今の私は無いと思う… いや、間違いなく無い」 澪「臆病者で、小心者で、いつもビクビクしていて、友達も出来ずにこうやって過ごしてる事もありえない」 澪「だからさ、やっぱり心配なんだよ もしも、その、チャラチャラした男だったらビシっと言ってやろうと思ってさ」 澪「お節介かもしれないけど、私も律の為になりたいんだ!」 紬「澪ちゃんはりっちゃんが大切なのね」 澪「あ、ああ」テレテレ 紬「私は幼馴染とかいないから同じ立場には立てないけれど」 紬「澪ちゃんを応援するわ!」 澪「ありがとう、ムギ」 紬「がってん!」 澪「とにかく、律の相手がいい人そうでよかったよ」 澪「これで私の肩の荷が下りるな!」ハハハ 紬「そ、そうね(澪ちゃん… やっぱり)」 澪「じゃあ、今日はありがとな」 紬「うん」 澪「じゃあまた明日、おやすみ」 紬「おやすみなさ~い」 ピッ 紬「…」 紬(澪ちゃん、何か自分に言い聞かせてるように感じだった) 紬(大切な親友… 小学校からの幼馴染…) 紬(私にそれらはわからないわ でもきっと自分の前から離れようとしたのなら…) 紬(きっと胸に大きな穴がポッカリ開いたような気持ちになる…) 紬(私は笑って送り出せるのかな?) 紬(応援するとは言ったけど流石にここから先は2人の問題よね 軽々しく私が口を挟んでいいような事じゃない) 紬(私が何処までしていいのかはわからないけど、がんばって澪ちゃん!) ピッ コトッ 澪「ふーっ(ムギに話したら楽になったな)」 澪(ほんとムギには感謝しなきゃ…) 澪(ムギは応援すると言ってくれたけどやっぱ私の問題だもんな…) 澪(何時までも人に頼ってばかりじゃダメだ!) 澪(いよっし!明日からまた部活がんばるぞー!おー!) 5
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律「ごめんくださーい」 澪「律、どうしたの?聡くんも」 律「学園祭の時の写真できたからもってきたんだ」 澪「そーなんだ、あがってきなよ 律「あたしたちこれから映画行くんだ。写真渡しに来ただけだから」 澪「そっか…」 律「それに聡が澪に会いたい澪に会いたいってうるさくてさ」 聡「ちょっとねーちゃんそれ言うなって言っただろ!!」 律「照れるな照れるなwじゃあ澪、また学校でなー」 澪「お、おう…(聡くん…)」 律「聡ぃ、お前澪のこと好きなのかー?」 聡「ちっ、違うよ!ただ、ちょっと・・・きれいだなと思ってるだけで・・・」 律「ほほ~。何だよ~お前にはこんなにきれいなお姉様がいるじゃないか~」 聡「何言ってんだよ。わ、抱きつくなよ、苦しいじゃんか」 律「照れちゃって、聡は可愛いな~」 聡「何だよ、人前で恥ずかしいからやめろよ~」 律「まだまだ聡は誰にも渡さないぞ~」 律「澪~お願いがあるんだけど…」 澪「なんだ?お願いって」 律「聡とデートしてやってくれないか!?」 澪「デ、デート!?しかもなんで聡くんと!?」 律「いやぁどうしてもって頼まれちゃってさぁ(ホントはゲームに負けたせいなんだけど…)」 澪「でもあたし男の人とデートしたことなんてないし…」 律「だよなぁ、二人っきりでデートなんて澪には無理だよな。ごめんな。聡には無理だって言っておくよ」 澪「…いいよ…」 律「マジで!?」 澪「聡くんなら昔から知ってるし、断る理由もないから…」 律「サンキュー!聡も喜ぶよ!あいつ澪のこと好きみたいだからよろしくな~」 澪「何いってんだよ律!」
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一般情報 田井中 聡(たいなか さとし) 声 - 伊藤実華 律の弟で、中学生。姉の律とは映画を一緒に見に行ったり、軽いどつき合いをするなど、姉弟関係は良好である。 若干人見知りするようで、軽音部員全員が家を訪問した際は一度隠れた。澪と面識があり呼び捨てで呼ばれている。
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アクティブ澪! 唯「はい澪ちゃん、あーん♪」 澪「ゆ…唯、皆見てるぞ、恥ずかしい…」 唯「いいからいいから、はい、あーん♪」 澪「う…あーん…」 唯「どう澪ちゃん、梅干しおいしい?」 澪「しゅ…しゅっぱい…」 私、秋山澪は唯の恋人として幸せな日々を送っていた。毎日のように唯の手作り愛妻弁当(ちなみに今週は毎日日の丸弁当)に舌鼓を打ち、放課後には部室でイチャイチャする今日この頃だ。 だけど最近、不安な気持ちになることがある。それは… 律「澪って唯といる時なんかカタイよなぁ」 澪「な、なに!?それどういう…」 律「うーん、なんかリアクションが薄いんだよな。唯に抱きつかれてもガチガチになってるし」 梓「スキンシップも全部唯先輩からの一方通行ですよね。澪先輩は受け身すぎます!」 律「このままじゃ唯につまらない女って思われて捨てられるかもしれないぞ!」 紬「まぁ私に言わせれば唯ちゃんとくっついてれば文句ないけどね☆」 澪「そ…そうか…私、そんな風に映ってたのか…」 なんということだろう。せっかくの唯のアプローチをただボケーッと受けていただけなんて… よし、これからは唯にふさわしい、素直な女になろう! 唯「澪ちゃんおはよー♪」 次の日、学校に行く途中で唯に抱きつかれた私は、ある決意を胸に秘めていた。 いつもならおどおどしているだけだろうけど、今日の私は一味違う! 澪「おはよう唯!おぉ、朝から大胆だなぁ!よーしお返しだー!ぎゅー!」 唯「へ…み、澪ちゃん!?」 決まった…!見事に唯を抱きしめることができた私は、多少ドキドキしながらもしっかりと唯のアプローチに応えることができたのだ。 これで唯にふさわしい感じになれただろうか? 唯「…う……ぁ、え、えっと、その……」 澪「…唯?」 ここでおかしなことが起きた。喜ぶと思っていた唯が、突然顔を真っ赤にしてうつむいてしまったのだ。 なんだ、どうしたんだ。私は何を間違えたんだ!? いつもなら『みおちゃーんぎゅー♪』てな感じでくっついてくるはずなのに、なんでもじもじしてるんだ!? 澪「ゆ…唯?どうした?」 唯「う、うん…あのね、澪ちゃんいつもはこんな風にしてこないから、なんかね、その…ドキドキするの」 澪「え…」 やばい。え、なんだこれ、唯ってこんな可愛かったっけ…ちょ、そんな嬉しそうに微笑まれたら私までドキドキしちゃうだろ…! 澪「さ、さぁ学校行くか!早くしないと遅刻しちゃうからな!」 唯「…澪ちゃん」 澪「ふおぉ…!」 ここで唯は私の制服をぎゅっと掴むと、じっと私の顔を見つめてきた。か、かわいい…!かわいすぎるぞ唯ぃ…! 唯「腕組みしたまんまで学校行ってもいい?」 澪「おっ、おぉ!?い、い、いいぞもちろん!」 唯「えへへ、なんか今日の澪ちゃんいつもと違うね。なんか甘えたくなっちゃうな」 澪「は、ははは!私もただ受け身でいるわけじゃないからな!」 唯「澪ちゃん♪」スリスリ 澪「くっ、くはぁ!」 律「…結局あんまり変わってないなぁ」 梓「まぁあれはあれでいいんじゃないんですか?」 紬「私に言わせれば唯ちゃんと澪ちゃんがくっついてればそれでいいんだけどね☆」 おしまい 照れたり甘えたりする唯ちゃんとそれにどぎまぎする澪ちゃんが大好きです 初出:2- 199- 201 コイツは良い唯澪いや澪唯だ -- (名無しさん) 2010-09-14 23 20 47 作品よ、技ではなく業の域だよ -- (ありがとう) 2010-10-29 04 57 43 いいよぉぉ... -- (名無しさん) 2011-08-04 12 24 17 感動した -- (名無し) 2011-09-10 05 04 25 ムギちゃんに -- (名無しさん) 2011-09-15 07 32 28 大好きです -- (名無しさん) 2012-01-17 01 59 08 ムフフ -- (KYな俺) 2012-03-27 00 39 49 良いなぁこのイチャイチャっぷり -- (名無しさん) 2012-04-16 21 02 41 うむ、良い澪唯だった。 -- (通りすがり) 2013-07-10 08 45 45 名前 コメント すべてのコメントを見る 戻る TOP
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放課後! 澪「(そろそろ学園祭も近いし今日はまじめに練習しないとな。)」 ガチャ(ドア) 澪「あ、澪!今日は早いな…。」 澪「あ!ビックリさせるなよ!」 澪「どうしたんだ?そんな顔して…?」 澪「な、なんでもないよ…////」 澪「余計気になるじゃないか…。」 澪「い、いいから////」 ガチャ(ドア) 澪「やっほ~!今日のケーキはなんだろうな~♪」 澪「おお、澪!っていうかなんで澪のマネしてるんだよ…。」 澪「(よかった…///澪が来てくれたおかげで助かった。)」 澪「どうしたの澪ちゃん?顔赤いよ?」 澪「な、なんでもないよ////」 澪「澪『ちゃん』って…。分かりにくいから澪のマネはやめろよ…。」 澪「えへへ~//」 澪「……。」 ガチャ(ドア) 澪「たぁのもーーー!!!」 澪「うわあ!!」 澪「澪をビビらせるな!」ゴツン 澪「いてえー。」プクウ 澪「なあ、澪はまだ来ないのか?」 澪「ああ、澪は今日日直だからな。」 澪「澪ちゃんは~?」 澪「もうそろそろ来るんじゃないか?」 ガチャ(ドア) 澪「あ、来た来た。」 澪「遅くなったわ~。今からお茶入れるから~。」 澪「いや、だからなんで澪が澪のマネするんだよ。」 澪「やってみたかったの~。」 澪「……。」 澪「じゃ、澪が来たら練習しよう!」 ガチャ(ドア) 澪「あ、澪先輩と澪先輩と澪先輩、遅くなってすみません!」 澪「私のこと忘れてない?ひどいよ澪にゃん!」 澪「んあ?澪が澪のマネするのはやってんのか?」 澪「お前が言うな!」 澪「す、すみません!」 澪「って言うか一人だけツインテールってなんか浮いてるな。」 澪「/////」 澪「ま、澪ちゅあんはなんでも似合うから良いんじゃないかしら~。」 澪「////」 澪A「っていうかこれ分かりづらくないか?」 澪B「ああ、そうだな。」 澪C「番号かコードふっっておけば分かりやすくなるんじゃないかしら?」 澪D「なるほど!澪ちゃん頭いい~!」 澪E「澪先輩はもっと頭使ってください!」 澪F「ひどいよ澪にゃん…。」しゅん 木G「」フンス 澪H「あははは、でも澪の言うとおりだ。」 澪I「っていうかケーキ食べ終わったら今日こそは練習するぞ!」 澪J「は~い。」 澪K「っていうか…。」 澪L「こんなにいっぱいいたんだな。」 澪M「どうりで部室が狭く感じるわけだ…。」 澪N「澪ちゃんおっぱい大きいから。」 澪O「な/////」 練習後! 澪「澪!いっしょに帰ろうぜ!」 澪「あ、ああ///」 澪「な、なあ、今日澪の家に行ってもいいか?///」 澪「いいよ。っていうか澪の家なんだからそんな遠慮するなよ。」 澪「う、うん///」 澪「ラブラブですな~。」 澪「青春ね。」 澪「ひ、冷やかすな!///」 秋山家! 澪「よし、澪!劇の練習するぞ!」 澪「あ~、なんで私が澪の役なんだよ~。」ブルブル 澪「しょうがないだろ。投票で決まったんだから。」 澪「っていうかなんで今時『澪と澪』なんてやるんだよ~。」ブルブル 澪「それも今更言ったって…。っていうか私だって澪の役なんてやりたくなかったよ…。」 澪「もう!澪が澪の役やればよかったんだよ!澪の方がお姫様見たいでかわいいし!」 澪「な!////澪の方こそ勇ましくてかっこいいんだから澪の役やればよかっただろ!///」 澪「いいや!澪の方がかわいいし!」 澪「いいや!澪は世界いちかっこいい!///」 澪「じゃあ澪は宇宙一かわいい!//」 澪「な、じゃあ澪は…、ん、み澪!なにするんだよ///」 澪「そんなうるさいお口は黙らせてやる!」 澪「ん!///」チュッチュ 澪「んはあ、かわいいよ、澪///」 澪「そ、そんなことよりれ、練習しないと!(う、嬉しいけど///)」バッ 澪「ちぇっ、でもそうだな、しっかり演技して澪たちを見返してやらないとな!」 澪「うん!じゃあやるよ。」 澪「澪!あなたはどうして澪なの?///」 澪「ああ、美しい澪!むはあ!やっぱり我慢できない!!」がばっ 澪「な、み、澪!////んあっ///」 ……… 翌日!教室! 澪「あ、澪!おはよ!」 澪「おはよ、秋山さん。」 澪「澪ちゃん達、おはよ~。」 ガラっ(扉) 澪「あ、秋山先生おはようございます。」 澪「おはよ、秋山さん。秋山さ~ん、席について!」 澪「それでは出席を取ります。秋山さん。」 澪「はい。」 澪「秋山さん。」 澪「はい!」 澪「秋山さんは今日も元気ね。秋山さん。」 澪「はい。」 澪「秋山さ~ん!私語はやめて!秋山さん。」 澪「はい!!」 澪「秋山さん。」 澪「はい。」 授業中! 澪「…。」 澪「あ!澪ちゃんと目があっちゃった////」 澪「こら!秋山、ぼーっとするな!この問題分かるのか?」 澪「え、えと…、それは…。」 澪「はい!3秋山マイナス澪の2乗です!」 澪「なんで秋山が答えるんだ!」 澪「み、澪ちゃん////」 澪「別に秋山さんのために答えたんじゃないんだから…。」 秋山家! 澪「そういえば最近澪の練習してなかったな。学園祭ライブ近いのに。」 澪「よし!」 ミオ~ン♪ミオミオミオミオ~ン♪ 澪「あれ、チューニングが狂ってるな…。」ぴきぴき 澪「痛い痛い痛い!」 澪「あ、ごめんごめん。」 ミオ~ン♪ミオ~ン♪ミオミオ~ン♪ 劇の練習! 澪「あ~美しい澪!」 澪「澪!あなたはどうして澪なの?」 澪「すごい!秋山さんも秋山さんもできてるじゃない!」 澪「澪ちゃんが澪ちゃんをイメージして澪の役を演じて、」 澪「澪ちゃんが澪ちゃんをイメージして澪の役を演じてるってこと?」 澪「うわ~、なんかややこしい!」 …… 澪「(澪先輩達練習に熱入ってるな。絶対ライブのこと忘れてるよ…。)」 学園祭ライブ!朝! 澪「これでよしっと。」 澪「でもよく寝てるね~。」 澪「きっと澪役で疲れてるのよ~。」 澪「あ、起きた。」 澪「おはよ。」 澪「おはよ、澪ちゃん。」 澪「うわあああ!!」 澪みおミオ澪澪澪ミオ澪澪ミオミオ 澪「澪がぶった~!!」プクウ 澪「澪も太くしておきました~。」 澪「な…、、」 ライブ! 澪客「」ワーーー!! 澪「澪もなんか言ってぇ~!!」 澪「あ、ありがとう///」 澪「きゃ~////」 澪「それでは次が最後の曲となりました!」 澪「えーーー!」 澪「秋山先生、ありがとう!澪ちゃん、いつもありがとう!澪ありがとう!澪、澪ありがとう!」 澪「澪澪ティータイムは、いつまでも、いつまでも、澪澪です!!」 澪「……。」シーン パチパチパチ 澪「それでは最後の曲!『澪&澪』!!」 澪「わーーーー!!」 ミーオーミオー、ミオーミオ~♪ミーオーミオー、ミオーミオ~、ミオーミオ~♪ ミオ!ミオ!ミオ!ミオ!! 澪「澪がいないと何にもできなミオ~、澪のごはんが食べたミオ~♪」 澪「もし澪が帰ってきたらとびきりの澪で、抱きつくミオ~♪」 澪「澪がいないと澪れないミオ、澪の澪が聞きたミオ~♪」 澪「澪の澪が澪れば、それだけでいいんだミオ♪」 澪「澪がそばに澪るだけで、いつも澪澪もらってた♪」 澪「いつまででもいっしょにいたいこの気持ちを伝えたミオ♪」 澪「澪の日にも澪の日も、澪は澪にいてくれた♪」 澪「澪を閉じれば澪の澪澪輝いてる♪」 ミーオーミオー、ミオーミオ~♪ミーオーミオー、ミオーミオ~、ミオーミオ~♪ 澪客「」ワーーー ……… ライブ後!夕焼けの部室! 澪「大成功、だみおね。」 澪「なんか、あっという澪だったな。」 澪「」プクプクプク 澪「ちゃんと澪澪できてたか、全然澪ってないわ。」 澪「でも、最高の澪だったな!」 澪「みんなの澪もばっちり澪ってたし!」 澪「澪ってた!澪ってた!」 澪「澪も喜んでるんじゃないか?」 澪「私の澪だって!」 澪「おお!澪の澪は澪っていうのか!」 澪「澪だから澪です!」 ………… …… 澪「澪たち、驚いてましたね。」 澪「どっきり澪作戦、大成功!」 ガチャ(澪) 澪「澪んな~!…、あれ。」 澪「」プクプクプク 澪「幸せそうな顔…」 帰り道! 澪「澪ちゃんじゃあね~!」 澪「さようなら~!」 …… 澪「今日は…、っていうか、いつもありがとうな。」 澪「改まっちゃってどうしたんだ?でも、こちらこそいつもありがとうな。」 澪「なあ、澪、大事な話があるんだ…///」 澪「なんだよ話って。じゃあ澪でも食べながら話すか?」 澪「いや、その…、二人きりが良いんだ///」 澪澪の澪! 澪「ここなら二人きりだぞ。大事な澪ってなんなんだよ?」 澪「あ、あの、その…///」 澪「」カァーカァー 澪「澪と澪の中だろ!なんでそんなに澪ってるんだよ。」 澪「わかった。あの…、実は…、私、澪のことが澪なんだ!!」 澪「え…////澪澪澪って澪澪って澪った?」 澪「うん/////澪のことが澪澪で澪澪なんだ!!」ぎゅっ 澪「澪////」 澪澪澪! 澪「あの、澪澪するの澪んなんだけど…////」 澪「澪澪澪、澪も澪だ////」チュ 澪「んあ///澪///そんなことしたら澪澪が///」 澪「澪!澪澪だよ!」ハアハア 澪「澪!澪澪澪!澪澪~!/////」 澪「澪!澪澪も澪澪~!///」 澪「んん~///澪~///」 澪「あー!澪ー!澪澪!!!」 澪「澪!澪も澪ーー!!!あああぁ!!!/////」 唯「って昨日からずっと澪ちゃんが言ってるんだけど大丈夫かな…?」 律「ああ、澪は昔から妄想するのが好きだからな~。」 澪「あああん!!澪~///澪澪~///んはあ~~~!!////」 律「あちゃ~。ついにいっちゃったか…。」 澪澪澪澪(おしまい) 戻る
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聡「ちょっと!姉ちゃんの所為で遅刻だよ!」 律「わ、わりぃわりぃ・・・・。」 二人は時計をチラチラと確認しながら、早歩きをしていた。 聡「ここかな?」 上品な喫茶店の前で立ち止まると、聡は看板を見上げた。確かにここだ。 律「なかなか高級そうだな。」 聡「だね。」 ドアを開けると、爽やかな鈴の音が店内に鳴り響いた。 店員「いらっしゃいませ。何名様ですか?」 聡「あ、ええと・・・・待ち合わせを・・・・・・」 店員「はい、田井中様・・・・ですね?皆さんあちらでお待ちです。」 店員が示した奥のほうのテーブルには、懐かしいメンバーが勢ぞろいしていた。 澪「遅いぞ、二人とも!みんなとっくに集まってるっていうのに。」 唯「私より遅れるなんて、ダメだよ~。」 憂「お姉ちゃん、私が言うまで忘れてたじゃない。」 唯「アッハハ・・・そうだっけ?」 紬「いらっしゃい、二人とも、お久しぶりねー。」 梓「お久しぶりです!」 全員との挨拶を一通り済ませ、二人は席に付いた。 改めてまわりに座っている面々を眺めると、嬉しさと感動で胸が一杯になる。 律「いやあ、ゴメンゴメン。ちょっと準備に手間取ってなー。」 聡「だからもっと早く用意するように言ったのに・・・・、」 唯「りっちゃん相変わらずだね~。私もだけど、テヘ。」 憂「お姉ちゃんは今のままでいいんだよ。律さんも聡君も変ってませんね~。」 律「まあなw。」 唯「今も二人で暮らしてるの?」 聡「そうですよー。家事はほとんど僕の担当ですけど・・・・。」 律「失敬な!私だって晩御飯・・・・の後片付けくらいやるやい。」 軽く笑いが起こる。 聡「まあ、実際のところ晩御飯は時々作ってもらってますが。」 律「そうそう。」 聡「いっつもカレーかハンバーグで・・・・。」 律「それを言うなー!」 再び起きる笑い。 一口コーヒーをすすると、澪が向かいに座っている聡に問いかけた。 澪「どうだ、聡?生徒たちとは上手くやってるか?」 聡「まあまあかな。」 律「こいつ人懐っこいからなー。生徒たちの間じゃ人気者らしいぜ」 澪「そうなのか。でも逆に先生としてというより友達として好かれてたりとかw。」 聡「うう・・・・・・図星かも・・・・・・。」 聡「澪姉はどう?最近忙しいみたいだけど。」 澪「ああ、なんか最近裁判続きでな・・・・。」 唯「澪ちゃん弁護士さんだもんね~。」 横から唯が会話に加わる。 唯「時間がない!っていつも言ってるよね。」 澪「うーん・・・悪いな、唯にばかり愚痴をこぼしてw。でもほんと、時間がないんだよな・・・・。」 憂「私も同じです。最近なかなか時間が取れなくて・・・・。」 律「憂ちゃんは大学病院勤務だっけ?小児科は大変らしいよね・・・・。」 憂「そうなんですよ・・・・。睡眠を削っての重労働です。でも、子供たちの命を 救えることぐらい素晴らしいことはないと思うんですよ!」 唯「そうだよね~。子供たちってかーわいいよね~。」 聡「唯さんちょっとレベルが・・・・・・。あ、でも『可愛い』と思うことも大切ですよね!」 唯「そうだよ~。私もう、毎日子供たちと遊べて幸せだよ~。」 澪「唯くらい幼稚園教諭が似合うやつも珍しいかもな。」 聡「そうですねw。」 唯「りっちゃんもワンちゃんの学校やってるんだよね?」 律「いや、学校って言うか・・・・。盲導犬の訓練所な。あと、私はトレーナーの 一人ってだけで別に私が経営してるわけじゃないぞ?」 唯「細かいことはいいんだよ。っていうかこれはりっちゃんの台詞でしょー。」 律「wwなんだよそれ!私だって細かいことに気を配ったりもするんだぞ?」 聡「犬の訓練だって地道な作業だもんね。」 律「そうそう、そうなんだよ。分かってるなぁ、弟よ。」 澪「でもこの前見に行ったら遊んでるだけだったぞ?」 律「な!そ、それも重要なプログラムの一環であって・・・・」 テーブルの奥のほうから発言があった。 紬「聡君はその後ピアノやってる?」 聡「あー、ちょっと時間がなくて・・・・。」 紬「そうなのー。実は私もよ。なかなかまとまった時間が取れなくて・・・・。」 律「私は結構ドラム叩いたりしてるけど。」 澪「お前は犬と戯れてるだけで時間余りすぎなんだ。」 唯「ハイハーイ!私も時々ギター弾くよ!」 澪「そうかそうか。いいなあ、お前たち暇で。」 律「ひ、暇って!一応これでも仕事してんだから。人を暇人扱いすんなよw」 澪「でもまあ、ムギや憂ちゃんに比べたら、私なんてまだ暇なほうなのかもな。」 紬「うーん・・・・悪いけど同意せざるを得ないわ・・・・。」 眉を逆さにして微笑みながら紬が言った 律「なんか随分大それたことやってるんだって?」 紬「大それた、って程でもないけど・・・・。琴吹グループの収益の75%を、 発展途上国の人々へ支援として提供しているの。」 律「な、75%!?」 紬「ええ・・・・。それで経営が傾き始めて・・・///」 律「ありゃー・・・・。でもなんかすごいな。世の社長なんて、自分の手にする 利益以外何も見えてないってのに。爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぜ。」 紬「フフ。でもそんなことしたら軒並み倒産しちゃうわよ?」 律「あ、あははは・・・・・。」 聡「それにしても立派ですね。紬さんも勿論ですけど、皆さん本当に立派なこと されてて・・・・・・尊敬します!」 律「そんなに褒めるなよ~。」 聡「姉ちゃん以外。」 律「んだとコラァw!」 また笑いが起こる。 梓「フフフ・・・・。あ、でも、私もあんまり立派なことはしてないですよ・・・・?」 全員の目が梓へ向かった。 律「なあに言ってんだよ、梓。」 唯「そうだよ、あずにゃんがある意味一番立派だよ?」 澪「そうだな。梓だけが、私たちの大切な思い出、放課後ティータイムを 存続させてくれてるんだもんな。」 皆が口をそろえる。 梓「うーん、でも私はやっぱり、皆さんと一緒にバンドを組みたかったです。」 紬「そうね。あの頃は本当に楽しかったわね・・・。」 梓「最高でしたよ!そりゃ確かに今は、そこそこ有名に・・・」 律「『メチャクチャ有名に』の間違いだろw?」 梓「はいw。・・・・メチャクチャ有名になりましたけど、やっぱりあの頃のような 楽しさはもう味わえないんですよね・・・・。」 澪「そうなのか・・・・・。なんか悪いな。私たちが引っ張り込んでおいて。」 梓「いえ、そんなことはないですよ!」 両手を振ってみせる。 梓「楽しい思い出をたくさん作れましたし、それがあったからこそ、 私は今でもこうしてバンドを組んでいるんですよ。」 梓「あ、そうだ!」 そう言いながら軽く手を叩くと、梓は手提げ鞄の中から封筒を取り出した。 梓「この前お伝えしたとおり、今度武道館でライブをやるんですが、そのチケットです。」 律「おお!これが。」 紬「まあ、いいのかしら?」 唯「これVIPって書いてあるよ!」 澪「ほんとにいいのか?」 梓「いいんですよ。私にとっては、皆さんは Very Important People どころか Most Important People なんですから。」 澪「いやあ、それにしても、ついに私たちの願いが叶うんだなぁ。」 唯「だね~。夢は武道館!って言ってた頃が懐かしいよ。」 律「あん時はまさか本当に叶うとは思ってなかったぜw。」 聡「姉ちゃん、それを言っちゃダメだろw。」 梓「それから、聡君と、憂の分もあるんだけど・・・」 聡「あれ?いいの?」 梓「いいの。約束したでしょ?あの時。」 律「おいおい、何だよ約束って?」 聡「あいやいやいや・・・・別に大したことじゃ・・・・。」 澪「何だ何だ?気になるなw。」 梓「私たちがまだ高校生だった頃、約束したんですよ。もしいつか、 私がステージに立つ日が来たら、必ず最前列で見ててねって。」 律「そんな約束してたのかよー!幸せモンだなぁ、おいw。」 聡「む、昔の話だってば・・・・。」 梓「そうですね。昔の話です。でも約束は約束だから。」 梓「ところで憂は・・・・・」 梓は、チケットを眺めながら残念そうな表情をしている憂を振り返った。 憂「ごめんなさい!私この日は当直があって・・・・。」 梓「やっぱりダメか・・・・。まあそれじゃ仕方ないよね。」 憂「じゃあ私の分はさわ子先生にでも・・・。」 梓「あ、さわ子先生の分はもうあるよ。」 そういうと梓はもう一つ封筒を取り出した。 梓「郵送しようかと思って。まだ桜高に居るんですよね?」 律「だと思うぜ。未だに独身だし。」 梓「そうなんですか。まあ、そうじゃないかとは思いましたけど。」 憂「でもじゃあ、どうしようか。私の分のチケット。」 唯「和ちゃんはどうかな~?誘ったらきっと来てくれると思うよ?」 澪「和か・・・・。声かけてみる価値はあるかもな。」 律「確か検事やってるんだったよな?」 澪「そうだぞ。ある意味私の敵だなw。」 聡「対決したこととかは?」 澪「ないな、幸いなことにw。まあ、私は刑事裁判にはあまり出ないってのもあるけど。」 聡「そっか。」 律「もし対決したら澪が負けそうだなw。」 澪「な、なんだよそれ?」 聡「澪姉がお人よしだってことだよ。」 澪「うう・・・・聡に言われたらオシマイだな。」 聡「ちょっと!」 その後も賑やかな会話は途絶えることなく続いた。 そうしてあっという間に時間は過ぎて行き、解散の時間となった。 帰り支度を終えた一行は店から出ようとしていた。 唯「今日はたーのしかったぁ!」 律「こうして集まるのなんて何年ぶりだったろうな。」 澪「そうだよな。連絡取ったり時々個別に会ったりはしてたけど、 全員集まったのは高校のとき以来じゃないか?」 紬「でも、また近いうちに集まれるわね。梓ちゃんのコンサートで。」 梓「そうですね。今から楽しみです!」 憂「私は行けないけど、みなさん楽しんできてくださいね。」 梓「残念だな~、憂も行けたら良かったのに・・・。」 憂「そうだね。でも、今回が最後じゃないよね?またライブやってね。 今度はきっと行くから。」 梓「勿論!また武道館でやってやるです!よ。」 そういうと、梓はガッツポーズをしてみせる。この日最後の笑いが起きた。 聡「それじゃ皆さん、またライブのときに。」 澪「じゃあな。」 唯「まったね~。」 紬「ライブ、頑張ってね。」 律「『夢の武道館』、楽しみにしてっぞ?」 憂「なんか私だけちょっと寂しいな・・・。次は絶対行くからね。」 梓「ありがと。それじゃあね。」 少し歩いて、梓が振り返る。 梓「武道館ライブ、きっと成功させて見せますから!」 一同「オウ!」 それぞれの帰路につき、律と聡は電車に揺られていた。 律「みんな、変ってなかったな。」 聡「そうだね。」 律「でも、それぞれの道をしっかり進んでた。」 聡「だね。」 律「私たちも・・・・・ちゃんと進んでるんだよな?」 聡「・・・・・」 聡「もっちろん!」 ニッコリと笑いなら聡が答えた。 これから十年後、そしてそのさらに十年後も、皆が変らず平和に暮らし続けていられますように・・・・・。 律は夕空に輝き始めた一番星を見上げながら、小さく囁いた。 ________ その日の夜。 律「新メニューに挑戦した!」 聡「へえ!すごい!」 律「ジャーン!」 聡「・・・・・・・・・・ハンバーグカレー?」 律「そう。どうだ?」 聡「・・・・・・・・・・美味しそう・・・・」 律「だろ?」 聡「・・・けどこれは新メニューじゃない。」 律「やっぱし。」 終
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「教科書、ノート、携帯、財布…、――忘れ物ないな」 窓から差し込む朝の光が薄暗い部屋をぼんやり照らしている。 聡は学生鞄の中身を一通りチェックすると、窓辺に行って鍵が掛かっているかを確認する。 「…――よしっ」 決して几帳面な性格ではない。 多分、年の近い姉が大雑把な性格である事が多少影響している。 カーテンを引くと、鞄を手に自室を後にした。 廊下に出ると同時に、隣の部屋のドアが開く。 聡「あっ、姉ちゃんおはよ」 律「おー、おはよ聡。…今日は何か冷えるなぁ」 聡「え、そう?…でもまあ、もう秋だしね」 「そだな」と律は欠伸をする。 聡(…おっきい口) 律「…――あ。聡ちょっとストップ」 聡「え?」 律が目の前までやって来る。 スッと伸びてきた手に思わず身構えた―――が、その手は聡の頭の上に移動すると、髪を優しく梳いた。 聡「なっ、なに?」 律「んー?…――寝癖。」 額に声がかかる。 指の感触がくすぐったい。 聡は妙に落ち着かない気持ちになったが、そのままじっとしていた。 (――てか姉ちゃん意外にいい匂いすんだよな…) 聡「………えっと、まだ?」 律「ん、こんなもんか」 律は一歩下がって聡を眺めると、「よしッ」と満足そうに頷いた。 律の髪はもちろんしっかりセットしてある。 自分は子供扱いされたのかもしれないと、聡は恥ずかしくなった。 つい、早口になる。 聡「おっ…、俺の事よりさ、姉ちゃん自分の部屋の窓ちゃんと閉めた?最近物騒なんだから、鍵くらいちゃんとしとけよなっ」 律「えー、大丈夫だろー」 聡「大丈夫なんて分かんないじゃんか。ほらっ」 律「あー…、分かった分かった」 律は面倒くさそうに自室に戻って行く。 その姿を見送って、ふと先程の感触を思い返す。 (…――姉ちゃんの指、何か熱かった気がする) 聡・律「いってきまーす」 二人同時に家を出ると、聡は玄関脇にある自転車に跨がった。 聡の中学は桜高とは逆方向だ。 「じゃあ」と一旦手を振ったが、先程の事が過ぎった。 聡「姉ちゃん」 呼び止められた律はきょとんとこちらを振り返る。 聡「姉ちゃんもしかして体調悪いんじゃないの?」 朝、母と話をする姉は至って普通だった。 いつもの聡なら、自分の気のせいだと済ませていたはずだ。 ただ昨日、 学校から帰って来た姉はどこか落ち込んでいたように思う。 関係ないかもしれないが、聡はそれも気掛かりだった。 律「え、何で?元気じゃん」 聡「本当?」 律「ホントだって。 もうすぐ学園祭だぞ?体壊してる暇なんてないって。私部長だし」 へへっと笑う。 自分は心配性なんだろうか。聡はそれ以上言うのはやめた。 聡「…ごめん何でもないや」 律「おう」 聡はもう一度手を振ると、くるりと前を向いて自転車を漕ぎ出した。 金田「おい田井中ッ。鈴木の奴新しいゲーム買ったんだって。帰り寄って行かね?」 ホームルームも終わり、生徒も疎らな教室。 帰り支度をしていると友人の金田が声を掛けてきた。 聡「おー行く行く!」 金田「よし、じゃあすぐ用意しろよ」 聡「おうっ」 聡は持っていた教科書を慌てて鞄に突っ込んだ。 閉める寸前、携帯のバイブが鳴った。 聡「あ、メールだ。誰だろ」 金田「…おい田井中、早くしろよなー」 聡「んー…」 鞄からは出さずにディスプレイで内容を確認する。 聡「…――――ごめん金田、俺やっぱ急用できたから帰るわ!」 金田「えっ、おい…」 聡は鞄を乱暴に掴むと教室を飛び出した。 メールは律からだった。 桜高への通学路途中にあるコンビニ。 その駐車場の隅で律はうずくまっていた。 聡「――――姉ちゃんっ!」 息を切らせて自転車から降りると、律は鞄に押しつけていた顔をゆっくり上げた。 顔色は悪い。 律「…おー聡ぃ…。 …ごめん、家まで持ちそうになくて…」 聡「大丈夫立てる?」 律「……うー…吐きそう…」 聡「何でもっと早くメールしないんだよ、馬鹿」 律「……馬鹿だもん…」 聡「姉ちゃん?」 律は顔を伏せてしまった。 聡はその腕からそっと鞄を抜き取ると、自転車の前カゴに入れた。 律は動かない。というより動けないのだろう。 少し迷って、その肩に触れる。 聡「姉ちゃん、いける?」 返事はないがそれに応えるように背中に腕が回ってくる。 聡は律の身体を支えて、何とか自転車の後ろに座らせた。 聡「…――じゃあ行くけど、いい?」 律「…うぃー…」 律の体重が背中に掛かる。 苦しそうな呼吸が聞こえる。 聡はゆっくりと慎重に、ペダルを漕ぎ始めた。 当たり前だけど、身内が弱ってるのを見るのはつらい。 姉は普段こそ軽口を叩いているが、本当のところ、あまり周りに自分の弱さを見せようとはしない。 我慢してしまうのだ。 聡はそれが、もどかしくて、少し寂しい。 (…――俺じゃ、やっぱり頼りになんないのかな) ――――ガタンッ 舗装の悪い道路にハンドルを取られそうになった。 翌日、律は学校を休んだ。 聡はホームルームが終わると、またもや金田の誘い断り、一直線に自宅へ向かう。 (…―やばい。俺完全にシスコンかも…) 自宅近くまで来て、門の前に立っている人物に気付く。 姉と同じ桜高の制服。 黒い真っ直ぐな髪が背中に落ちている。 あれは…。 聡「――澪姉ちゃん?」 自転車を降りて声を掛けると、インターホンをじっと睨んでいた澪は、はっとこちらを向いた。 澪「…あっ、聡。…お帰り」 気のせいか、やけに動揺している。 聡「…姉ちゃんの見舞いだよね?何で入らないの?」 澪の脇を抜けて、自転車を門の内側に留める。 玄関の戸を開けると、後ろを振り返った。 澪は先程と同じ場所に立っている。 聡「…もしかして、見舞いじゃなかった…?」 澪「えっ、いや、もちろん律の見舞いだ!」 澪は慌ててその場を離れた。 玄関の戸を閉めると、中はシンと静まりかえっていた。 電気も消えている。 聡「…あっれ?母さんいないのかなー…。…ま、いいや。上がってて」 澪「……………ボソボソ(お邪魔します)」 聡「――何で小声??」 聡はツッコミを入れつつ靴を脱ぐと、一人台所へと上がった。 ギシ、ギシ、と澪が二階へ上がっていく音がする。 冷蔵庫からお茶を取り出すと、コップに注いで、ぐいっと飲み干した。 …――なるほど。 何となく、合点がいった気がする。 コップを流し台に置くと、澪に続いて二階へと上がった。 律の部屋の前に立つと、中から姉の楽しげな声が聞こえた。 (……邪魔しない方がいいかな…) 聡はノックしかけた手を降ろすと、自室へ戻る事にした。 いつの間にか眠っていたらしい。 階段を降りる幾つかの足音に、聡は目を覚ました。 一階から「お邪魔しましたー」と言う元気な声と、母が対応する声が聞こえる。 (他にも誰か来てたのか…) 玄関の閉まる音がすると、聡はベッドから身体を起こした。 廊下へ出ると、意外にもそこに澪がいた。 聡「――あれ?もう帰ったのかと思った」 澪「ああ、今帰るとこ」 澪は開いていた律の部屋のドアをぱたんと閉める。 澪「律寝てるから、あとよろしく」 聡「うん、分かった」 澪「じゃあおやすみ」 聡「…――あっ、澪姉ちゃん」 思わず呼び止めてしまった。 澪は「どした?」と行き掛けた身体をこちらへ戻した。 聡「…あ、いや、えーとさ…。 ねっ、姉ちゃんって普段あんなだけどさ、ああ見えて無理し過ぎる所があるっていうか、あるんだけど、……、俺学校違うし、姉ちゃんの事見ててやれないし、…って偉そうか。――いやそうじゃなくて」 自分が何言ってるのか分からなくなってきた。 …―ていうか大きなお世話だろこれ。 澪「―――うん、分かった」 聡「え」 顔を上げる。 澪「……ていうか私の方が律を頼っちゃってる部分も多いんだけど。今回の事は私も悪かった、し…。――あ、いや、つまり…。 ――聡にまで心配かけちゃってごめんな」 澪は所在なさそうに前髪をいじっている。 逆に謝られてしまった。 聡「えっ、違う、澪姉ちゃんは悪くないし―――ていうかごめん、今の忘れてッ」 出過ぎた真似をした自分が恥ずかしい。―――失敗した。 暫く間があって、ふいに澪が吹き出した。 澪「…―――聡は良い弟だな。律は幸せもんだ。 ――――じゃあ、おやすみ」 澪はくるりと体を反転し、足早に階段を降りて行った。 ぽつんと廊下に取り残される。 (いい弟なのかな…俺) …――ガチャッ。 律「…聡?」 部屋に入ると、芋虫みたいに丸まった布団の中から、律がもぞっと顔を出した。 聡「ごめん起こした?」 後ろ手にドアを閉めると、中央にあるテーブルまで歩いて行く。 手に持っていたお盆を置いた。 律「ううん、さっき起きた」 律の声はどこかすっきりとしている。 聡「これ、お粥。母さんが気分良くなったら食べろって」 律「おーさんきゅー」 聡「あ、今食べるんだったら熱いから気をつけろよ。火傷するかも。 あと、こっちが薬。食後三十分以内に飲めだって――――って、何?」 律がじっと見ている。 律「――いや、聡は将来いいお嫁さんになるなーって」 聡「なにそれ」 律「だって聡、女の子みたいに甲斐甲斐しいし」 ―――むかっ。 聡「じゃあ、甲斐甲斐しくこれ食べさせてやろっか?」 律「…」 聡「…」 律「…」 聡「…――――――な、何ほんとに口開けてんのさっ」 律「え?食べさせてくれるんだろ?聡が今言ったじゃん」 聡「いや言ったけど」 律「おうおう、怖じ気付いたか。男のくせになっさけないのう」 聡「ぐ…っ」 悔しい。 聡はむんずとお粥の入った茶碗とスプーンを手に取った。 そのまま律の傍に行くと、腰を降ろす。 何となく、律の顔は見ない。 聡はお粥を軽く掻き回すと、少しすくって、息を吹きかける。 ふー、ふー、と音がする。 今更ながら、部屋がしんとしている事を意識した。 衣擦れやベッドの軋む音すら、やけに耳に大きく聞こえる。 ―――何となく、何か、居心地が悪い。 律が見てる。 普通にしないと。 ―――って今は普通じゃないのか? いや普通だろ。 訳が分からなくなってきた。 聡は頑なに自分の手元だけを見る。 (落ち着け、俺) 内心を気取られないように、律の口元へスプーンを持って行く。 目が合った。 聡「――――――やっ、やっぱ自分で食べろっ。小学生じゃあるまいしっ。 てか姉ちゃん元気じゃんか」 寸での所で投げ出した。 恥かし過ぎる。 律「ははっ、ごめんごめん」 聡「俺もう寝るからっ。薬!忘れんなよっ!」 ずんずんとドアの前まで歩いて行って、ぴたっと足を止める。くるりと振り返った。 聡「―――何にやにやしてんの?」 律「いやあ、愛されてんなーって」 律は言葉通り、にやにや顔だ。 当たり前だろ、なんて悔しいので言わない。 聡「――姉ちゃん馬鹿だろっ」 律「あ、赤くなったー。照れちゃってー。 聡は分かりやすいのう」 聡「~~~っっおやすみっ」 聡は顔を真っ赤にしながらドアを開けると、ばたんと乱暴に閉めた。 聡「……。」 ドアを背に、はあーーっと息を吐く。 聡「…俺どんだけかっこ悪いの…」 ※ 律「…―――――――ほんと可愛いやつ。」 聡が出て行ったドアを見つめながら、律は思わず吹き出してしまう。 聡はいつも、確かな安心をくれるのだ。 「…―――――――だからつい、甘えちゃうんだよなー…」 照れくさいので本人には言わないが。 律はゆっくりと横たわると、優しい気持ちで瞼を閉じた。 おまけエピローグ 朝。聡の部屋。 律「なっさけないのう。男のくせに風邪ひくなんて」 聡「―――ちょっと待て、誰のせいだと…げほごほッ」 律「わ、大丈夫か聡?―――ごめん!私のせいです!」 聡「げほげほん、…いいよ別に」 律「ほんとごめんな…」 聡「いいってば。俺は、姉ちゃんが元気になってくれた方が嬉しいし」 律「……………っ。聡…ッ」 聡「うわっ、いきなし抱き付くなっ」 律「大好きだこんちきしょーっ」 おしまい